X680x0
What's X680x0?
出会い
それは高校の卒業の頃であった。それまでMZ,X1と使っていたため、Oh!MZ誌(SOFTBANK刊・後のOh!X誌。現在休刊)を購読していた私は「いかす新機種が出るらしい」という記事に胸を踊らせていた。「最初に買う16bitはこれだ!」と心に決め、それからは貯金にいそしんだ。
モニタと本体で50万。それでも買う意志は揺るがなかった。買う意志があることを店(当時OAシステムプラザ福岡店)に告げ、いつでも買えるように、売約にしてもらった。結構な金額の割りに、初回入荷分は予約完売、その後の入荷分までも予約待ちで入手困難でもあった。在庫の問い合わせがあるにもかかわらず、いつ買えるかもわからない私の分をとっておいてもらってSHOPには迷惑をかけた。
初代機には一部不良ROTがあったようで、店に初期不良として戻ってきたものがあった。それをメーカーに戻し、修理したものが、「B級品」として店に戻ってきた。「新品だけど新品じゃない」というB級品。普通の価格よりは仕切りが安い。それを俺は見逃さなかった。本体価格20万。これは狙える現実的な価格だ。夏休みにそのSHOPでバイトさせてもらい、貯金とあわせてついに購入したのだっ。
しかし、ディスプレイが純正ではなかった。X1は持っていた。このデジタルディスプレイに無理やり繋げて低解像度でしばらく過ごした。高解像度のゲームがほとんどで遊べないゲームも多かった。実用的には満足に使える状態ではなかったのだ。3ヵ月ほどこの状態が続いたが、店員から個人的にPC-TV452(NEC)の中古を売ってもらいなんとか使える状態になった。
X68の特徴でもある機能の多くは、周辺機器も純正で揃えておかないと使えないものがあるため、モニターはなんとかしたいと思っていた。大学の近所の「まいぱそこんしょっぷ五条」の店員から個人的に初代純正のモニターを譲ってもらい今でも使っている。これはいまだに現役だ。いいモニターである。
知っている人は知っているX68の特徴を、知らない人のためにあえて紹介しよう。(文責:俺)
重要です。このへん試験にでます。
コンセプト
パソコンテレビ
呼び名こそパソコンテレビX68000ではなかったが、X1のその精神は確かに受け継がれていた。テレビを指定した時間に指定のチャンネルを指定の音量でオン/オフなんてのはあたりまえだ。これくらいならタイマー内蔵のテレビでもできなくもない。肝心なのは、パソコンが指定時間に勝手に立ち上がって勝手に処理して勝手に落ちるということだ。ビジーなネットにはすいてる時間に自動ログインさせれば問題ないわけである。それまで本体の電源は落としていていいので地球にもやさしい。Energystar認定してくれ。(X1はテレビの制御しかできなかった)
パソコン側からテレビの制御が出来るのはわかっていただけたと思うが、まだこれだけだとは思って欲しくない。まずキーボードから制御できる事。ようするにテンキー周辺がTVリモコンとして機能する。この機能はパソコンが立ち上がってなくても使える。モニタの電源ON/OFFがキーボードから出来なかったのがじつにおしい。つぎにソフトからも制御できる。付属のX-BASICからですら制御可能だ。
HOBBY 16bit
当時、HOBBY向けといえる16bitマシンはまだなく(MZ5500はいい線行っていたが)、まだまだ8bit全盛の時代、ただ速いだけのマシンではなくそれに見合う周辺のスペックは魅力であった。位置付けとしてはX1の後継マシンである。しかし互換性はゼロであった。(X1エミュレーターというソフトが同時に発売されていたのだがエミュレート性能は低いものらしく、活用されていたという話はいまでも聞かない。幻のソフトかもしれない。レアなソフトとして探している者も少なくない。無論、私も例外ではない。)
ATARI仕様(Dsub9p)のJOYSTICK端子を備えていた事がHOBBY機の象徴かもしれない。しかし、なんといってもGRADIUS(C)KONAMIが標準添付ってのにはぶったまげた。アーケードと遜色ない出来であった(完全移植とはちょっと言えないが…)。ワープロソフトもついてくる。OSもついてくる。
そもそもSHARPのcomputerは昔からクリーン設計である。ROMには基本的なルーチンしか入っていない。APL,OSをいれることで使えるようになるものである。
しかし8bitな時代にはかなり攻撃された。まだCMTが全盛な時代、いちいちBASICなどを起動するのがめんどくさいというものである。ROM-BASICというボードが発売されていたのも当時の背景を物語っている。しかしもう時代は違う。最低でもFDD、リッチな人はHDDだったのである。(当時はSASIの20MBが10万くらいで"安い!"と言われていた時代である)
ハードウェア
度肝を抜くマンハッタンシェイプ
ボディである。当時なかった縦置型である。しかもタワーが2つに別れている。世界初のデザインだろう。マンハッタンの立ち並ぶビルに見立ててこう呼ばれた。このころはタワー型等という呼び方は一般にはなかった。
この2つのタワーは底部で繋がっているのだが、向かって左側のタワーには、FDD,電源ユニット(ACE以降ではHDDも)が、右側にはメインボードとI/Oスロット、それとビデオボードが入っている。初代ではボードだったが、後の機種では小型化され、ビデオユニットになった。底部にはサブボードとして、シリアル周辺と音源、ジョイスティック回路が入っている。それぞれの基盤はフラットケーブルで結ばれている。背面には、所狭しと端子が並んでいる。
取っ手がついている。これも世界初かもしれない。後に発売された富士通のパソコンでも取っ手がついていたが、コストのかかっていない、チープなものであった。
やたらとキーが多いキーボード
インテリジェンスキーボードである。CPUが内蔵されていて、いろいろな裏技まである謎のキーボードである。おそらく世界初。
まず驚くのがキーの多さだ。この数はいまだにやぶられていないんじゃないだろうか?
キーボードの両側面にマウス端子がある(Pro/Compactを除く)。どちらに繋いでもおなじように機能するが、同時にさしても機能しない。きっと世界初。
やたらとLEDが組み込まれている。しかも光量調節までできるという優れ物。ナイトライダーごっこが流行ったりした。たぶん世界初。
妙な形のマウストラックボール
この時代、GUIなOSもめずらしく、グラフィックソフトでさえもテンキーを使っていた時代である。マウスが標準添付というのも珍しかった。
しかもトラックボール/マウスであった。無論世界初。金のかかっているマウスである。シャープマシンのマウスはすべてがコンパチに作られている。X1,MZ2500,MZ5500、ワープロ書院でも使えるのだ。
マウス上部の前方に2つのボタンが配置されている。2ボタンマウスならありがちなスタイルだ。しかしこれだけではおわらない。Drag&Dropの際、ボタンを押したままマウスを移動させるという作業になるのだが、がっちりマウスを掴みつつ、ボタンを押したままの状態でマウスを持ち上げカーソル移動というのは初心者には大変な作業だ。このマウスにはL,Rのボタンが側面にもついている。おかげでボタンを押すイコールマウスを掴むということになる。細かい配慮。おかげでシャープの他機種ユーザーにも人気がでてしまう。
「68マウスってカウントどれくらい?」よく聞かれたことである。Macのマウスと同等に、早く動かせば移動量が増えるというものであったため、カウント数というものは存在しない。この感度を変化させることももちろん出来た。もっともこれらはハードではなくマウスドライバの仕様とも言えるものであるが…。
端子。本体にキーボードとマウスの端子がある。キーボードにもマウスの端子がある。どこに繋いでも同じように認識される。実際は違うアドレスのものだが、ドライバが同一に判断している。うまくやれば、両手マウスも可能だ。さらにMSXマウスをジョイスティックの1と2に、シリアルマウスを232Cにさせば全部で5マウスも可能だ。
最初からゲーム目的なユーザーはキーボードを箱から出していないひともいたらしい。中古の68のなかにはキーボード未使用というのも数多く見受けられた。マウスとジョイパッド(ジョイスティック)しか繋げていない。マウスを使用して仮想キーボードで入力出来たからだ。使いやすい入力方法とは言い難かったが、慣れているものはかなりの速度で入力している姿も見受けられた。やはり慣れか?
SPEC
65535 COLOR
当時のマシンでは、8bitマシンで最高4096色同時発色ってのはあった。X1turboZ(SHARP)やFM77AV(FUJITSU)だ。MSX2は256色だった。パレット機能で出せる色表現はどんなにあろうとも、同時発色は最高だった。世界初だ。タイリングによる色表現もそっちはそっちで魅力だったのだが、セル画風のイラストもどんとこい。
なんといってもZ'sStaff(Zeit)というグラフィックソフトが秀逸だった。X1もそうであるが、X68はSHARPのTV事業部が開発したマシンである。どことなく家電な雰囲気ももっている。TVとの連携には猛威を奮った。512x512の解像度で65535色で取り込める。ツールを使ってレタッチ(画像修正)もできる。スーパーインポーズ機能でコンピュータ映像と重ね合せて見ることやビデオに落とすこともできる。ビデオテロッパを買うと当時何十万円したか想像もつかない。世界初。
自分で描いたイラストや文字を好きなところに好きな大きさで好きな色で合成できるものはいまでもかなりの価格だ。
この機能のおかげで,いまだ一部の業界では利用されている。
しかし、ポリゴンやワイヤーフレームといった処理はできなかった。余談だが、後のプログラマによって高速な描画アルゴリズムが開発される。
Sprite
アクションゲームやシューティングゲームなどで欠かすことが出来ないスプライト。当時この機能を搭載していたパソコンはMSXくらいであった。そのスプライトをアーケードゲームレベルで実現した。X1にはPCG機能があった。これも当初は画期的なものであった。
X1は他のパソコンに比べてアクションやシューティングが多かった。これがX68の世界でもそのまま引き継がれた。後にアーケードから移植されるゲームの数々がその表現力の高さを証明している。オリジナルでもアーケードゲームを超えるレベルのものが数多く発売された。アマチュアの手によるゲームも、明日ゲームセンターにあってもおかしくないレベルのものも多く発表された。
しかし、回転や拡大縮小などのエフェクトはできなかった。余談だが、後のプログラマによって高速な回転拡大縮小アルゴリズムが開発される。
Sound
FMsoundである。当時よく使われていたYM-2026をあえて搭載しなかった。YM2026はFMx3,PSGx3な仕様だったのだが、X1ではStereo-FMx8のYM2151が使われた。X1には標準でPSG(AY3-8950)が搭載されていたためだ。
このYM2151というsoundchipはパソコン用音源として開発されたものではなかった。事実、DX-100,DX-21などのシンセサイザーキーボードに使われていた。これがX68にも使われた。しかしPSGがつまれていないのは残念だった。が、当時PCMがサポートしてあるのは前代未聞であった。間違いなく世界初だ。
mac,amiga,atariは積んでいたのだが、当時は国内でHOBBYとして流通していなかった。しかし当初は音楽にPCMを応用したデータはなかった。使われているPCMchip(OKI MSM6258)はOKI独自のアルゴリズムによるADPCM圧縮を用いたものだ。このアルゴリズムはDATABOOKにも載っていない。興味をしめす者は居てもsamplingしたデータには手を加えられなかった。(後に解析されPCMデータを加工、処理できるツールが発表される)また、音質的にも電話並ということもあり音源として使えるクオリティでもなかった。
元々このCHIPは、留守番電話などに組み込んで使うためのものであった。当初は「しゃべったりする」程度の目的で採用されたものである。まさか音楽用途で使われることになろうとはこのとき誰が想像出来たであろうか?
付属ソフト
HumanOS。コマンドライン型(いわゆるMSDOS型?)だ。使えるコマンドやバッチ等もMSDOSを意識してあり、ほとんど使える。いや、どちらかというと発展型。リダイレクトやパイプ処理もいける。バッチャーも満足。付属のOSなので、市販ゲームに組み込まれることも許されていた。「DISKを入れて電源を入れてください」だけでよかった。
VS.X(VisualShell)(後にSX-Windowになる)。これはGUIなOSだ。とはいえ、Human上で動いているのでMSwindows3.1をイメージすると早いかもしれない。VS.XはMacOSライクな操作性であるのに対して、SXwindowはMS-Winの雰囲気残しつつMacOSっぽくありながらオリジナルの感じという一言では説明しづらいものになっている。MZ,X1にはOSという概念が浸透していなかった。CP/MやMSX-DOSは一般ゲーマーには無縁だったからだ。そんなユーザーに、いきなりDOSを覚えろというのは酷であったのかもしれない。
グラディウス。VS.X上から起動するというものであった。ダブルクリックするだけで起動。終わりたいときはゲーム中いつでもESCキーで終了できた。このソフトは当時いろいろな機種に移植されたグラディウスの中でも最高峰であった。このソフトをしたいが為に購入を決意した物も少なくない。
日本語ワードプロセッサ。ワープロまでついてくるマシンは過去に類を見ない。X68は欲しいが個人では手がでない。会社に買わせたいけど存在意義がないと買わせられない。という人には重宝されたソフトだ。当時のパソコンワープロソフトと比較しても遜色ない仕上がりになっており、結構活躍していたソフトである。
立体視端子
ファミコンやセガマスターシステムなどにあった液晶シャッターを利用した3Dグラスを繋げることが出来た。対応ソフトは少なかったがパワーユーザーの手によって3D化のパッチがいくつか発表された。
SASI
この時代、ハードディスク接続を前提としたパソコンはなかった。時代はSASIであった。20MBでも十万近い金額を要求されていた時代であり、無理に内蔵しなかったのは正解とも言える。後の機種には内蔵されるようになった。
スーパーインポーズだ。ようするにTVみながらパソコン使える事。現在一般的になってしまった形態とはちょっと違う。フル画面にTVみながらコンピュータ画面を重ねて使う、のである。マシンパワーは食わない。
ドット比もこのへんから来ている。一部の絵描きさんからはドットが正方形ではないので非難されてしまった。じゃなぜこうなのか?これはテレビの事情が絡んでいる。ようするにテレビは1:1じゃないからだ。これはゲーム機にも言えている。MAC,WINに高速で高性能なツールがあるのに、OBJだけは68で起こしているところもいまだあったりする。都合がよすぎるからだ。
ソフトウェア
あまりに奥が深いのでまた今度。
あやしいハードの世界
あまりに奥が深いのでまた今度。
あやしいソフトの世界
あまりに奥が深いのでまた今度。
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